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〜 ねがい 〜



  むかしむかし、ある森にひとりのきこりがいました。
  真面目な生活、誠実なきこりに森の女神が毎年ひとつだけねがいをかなえることにしました。
  きこりはねがいがすぐにうかばなかったのでこう答えました。
  「この1年、事故なく幸せにくらせますように。」
  森の女神はほほえんでいいました。
  「あなたのねがいをかなえましょう。来年またここにきます。」

  きこりの生活は決して裕福ではありませんでしたが、健康でおだやかな生活が続きました。
  そして1年が過ぎたある日、また女神がきこりの前に現れました。
  きこりはやっぱりねがいがうかばなかったのでこう答えました。
  「この1年、事故なく幸せにくらせますように。」
  森の女神はほほえんでいいました。
  「あなたのねがいをかなえましょう。来年またここにきます。」

  きこりの生活はやっぱり裕福ではありませんでしたが、大きな問題もなく元気に過ごすことができました。
  そして1年が過ぎたある日、また女神がきこりの前に現れました。
  きこりは今回はいろいろ考えていました。
  「家を大きくするくらいのお金があったらいいな。」
  森の女神は悲しそうにいいました。
  「あなたのねがいをかなえましょう。来年あなたが生きていたらまたここにきます。」

  女神が消えたあと、そこには十分すぎるくらいのお金が残りました。
  しかしきこりは森の女神の最後の言葉がとてもきになりました。
  いつも何気なく通っていた森の道がとても危険なものに思えて、びくびくするようになりました。
  いつも楽しく会話していた人に対して、
  「お金があることが知られて強盗が来たらどうしよう」と疑いの目をもつようになりました。
  きこりが心穏やかに眠れる日はなくなりました。
  体が弱っていたきこりはとうとう病気で死んでしまいました。

  彼女は小学生の時にこの物語を読んでから、
  初詣の時にお願いすることは毎年同じになった。
  「この1年、事故なく幸せにくらせますように。」



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