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〜 入社試験 〜



  彼女の就職活動準備は大学3回生の夏から始まった。
  教育業界、出版(本)にかかわる仕事がしたいと思っていた彼女は
  その中でも小さい頃から縁のあったG社に入りたいと思っていた。
  インターネットのサイトを毎日見て、会社研究をすることから始めた。
  書店の就職本のコーナーで何時間も立ち読みし、入社試験の情報を収集した。

  G社の試験は数回に分けられていた。
  最初に会社説明会に参加し、エントリー用紙を入手。
  必要書類を送ると書類審査があって、それから第1回目の筆記試験
  それに通ると2回目の試験と面接。
  そこも通過すれば最終面接であった。
  奈良から東京の会社に応募する難しさを少しでも試験結果と面接でカバーする必要があった。

  1回目の試験対策のために、一般常識、時事問題対策のため問題集と新聞ダイジェストを買って少しずつ勉強した。
  2回目の試験の漢字読み書きが非常に難しいという情報があったので、漢字検定を受け出した。
  就職セミナーに参加していたら、たまたまG社が出している漢字問題集を入手したので、ぼろぼろになるまでくり返し学習した。
  クリエイティブテストの対策に、普段いったこともなかった美術展に行ってみたり、色彩の本を読んだ。

  一番の対策は実地だと思い、G社の試験前に他社の面接をいくつかいれた。
  三題噺を試験にいれている会社もみつけて、そこもあらかじめ受けるようにした。

  他社を受けた時に失敗や反省が多かったことで得るものは多かった。
  集団面接では前の人に思っていた答えを言われるとその答えを上回る回答ができなかった。
  他の学生の答えと答え方も勉強になった。
  うまい対応法は盗み、反面教師の部分は自分も気をつけることにした。
  三段噺はいきなり臨もうとしても、素人ではとても無理ということがわかった。
  そこで対策のために古典落語の本を読み、現代作家のショートショートを読みあさり、
  どんなお題がでてもオチ(結論)はこうしようというのを3つ、あらかじめ考えていくことにした。

  こうして彼女は4月1日、G社の東京本社で入社式を迎えることになった。



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