herstory
〜 ライバル 〜
「よき友であり、よきライバルであった」
彼女には中学、高校のクラスでそれぞれそう言える存在がいた。
その存在のおかげで彼女は様々な誘惑の中にいても
自分の道を見失うことなく突き進むことができた。
「よき友であり、よきライバルであった」
大人になってもこの関係にあたる存在を持つ人がどれほどいるだろうか。
相手の成功は自分の成功と同じように喜ばしい
相手の失敗は自分の失敗と同じように辛い
相手に勝ったとき興奮で眠れないほど嬉しい
相手に負けたとき食べ物がのどに通らないほど悔しい
大人になってから彼女は4つの要素をすべてもつ相手と出会っていない。
親友はいる。
仲間もたくさんいる。
目標とする人物はいる。
すごいと思う人は数え切れない。
しかし、同じ土俵にいる同レベルの競争相手を今は見出していない。
そのことが時に彼女の走るスピードを緩める。
自分の体にムチを入れるのは自分のみ。
自分に厳しくありつづけないと誘惑で歩みは止まってしまう。
彼女は思う
一生のうちでお互いに相手を磨きあうライバルを見つけることは
結婚相手を見つけることよりも難しいのかもしれない。
そして彼女は知っている。
相手を見つけたかったら、自分から人との距離を近づけなくてはいけないことを。
でも大人になってから、なかなかそれができなくなっていることを。
結局彼女は自分の中にもう一人の自分を作ることで
とりあえず目の前の道を切り開く力をなんとか作り出すのであった。